平安京の都、北の結界の領域に位置する船岡山の丘には、松明の明かりに照らされた陰陽師が星占いの最中です。

都の南に聳える東西の五重の塔を挟んで立つ羅城門はしっかりとその扉が閉められ、闇に紛れて京の町に侵入する者たちをしっかりと結界を張りながらガードしています。

ここ数年続く戦や疫病の蔓延により京の街は荒廃し、特に陽が十分に落ちた真夜中の世界では、魑魅魍魎たちが夜な夜な跋扈するという噂が京の街中から聞こえてくるようになっています。

そんな噂を聞きつけた陰陽師が都の安穏平和と疫病退散を祈るため、「消災呪:消災妙吉祥陀羅尼(しょうさいみょうきちじょうだらに)」を唱えています。

皆さまも、お寺のお礼参りに際しては本堂にて「消災呪」を是非、お唱えください。

とても短いお経ですので、3回ほど唱えます。必ずや幸運を呼ぶことでしょう。

【ミステリー&パワースポット】


● 膏薬図子

四条通から綾小路通に抜ける狭い路地にある小さな祠「神田神宮」。

平安中期、天慶の乱に敗れ討死した平将門の首は京にもたらされ、四条河原でさらし首となり、空也上人はこれを弔うため厨子を作られた場所。

空也供養の厨子がなまって「こうやくのずし」になったと云われています。

 

平将門の恐ろしい怨霊伝説を鎮めるために祀ったものと伝えられる小祠、京の鬼門に向いています。

 

● 将門岩 

京の北東に聳える比叡山・四明岳(しめいがだけ)頂上にある岩の上より都を見おろして天下制覇の野望を起こしたと伝う平将門。

今でも京都人は、将門の生き霊が比叡の頂きに漂っていることから、災いは鬼門の方向からやってくると信じています。

朝夕には、比叡の頂きを眺めては手を合わせます。今でもその岩を将門(まさかど)岩と呼びます。 

 

● 一条戻橋

安部晴明神社から京を南北に通る堀川通を挟んで東側にある小さな橋。

この橋の名の由来は、平安時代、この橋で父の葬列に出会った若者(晴明)が、棺にすがって祈ったところ父が蘇生したという伝説由来。

戦時中、出征兵は、無事の帰還を託し、ここから戦地に赴いたそうです。

よって、出戻りにならないためにも婚約女性は通らない方が無難でしょうか。(失礼御免)

京都・・・殺人事件等のサスペンスマジックの聖地。撮影現場に出会えれば幸運です。

 

● 晴明神社の紋と式神

晴明桔梗紋印。一筆の線描きで描ける五つ星。一方、式神は陰陽師が意のままに操れる鬼神。星は神秘の象徴。

満天に輝く星空の下、陰陽師が羅城門や船岡山などで式神を使い、天皇や貴族の栄枯盛衰の占いをしていたことは容易に想像できるでしょう。

船岡山は四神の一つ、玄武の地。丘の山頂に祭祀をおこなう祭壇・盤石(自然岩)があります。

そんな占いの場所は、生界と死界の境目の霊界スポットでもあり、ここも京都・・・殺人事件等のサスペンスマジックの聖地。

 

● 六道珍皇寺・清涼寺

「六道さん」の名で親しまれ、お盆の精霊迎えに参詣するお寺として名高い六道珍皇寺。

ここの鐘楼の音が多くの亡者をこの世に呼び寄せ、そして送り火で冥土に帰って行ったことでしょう。

このお寺で縁のある人物は、京では著名な小野篁(おののたかむら・802~852年)卿。

嵯峨天皇に仕えた平安初期の官僚(従三位参議)で不思議な賢人。子孫には小野小町などもいます。

本堂裏手にある小野篁が冥土通いの入り口にしたという井戸(非公開ですが本堂横の木戸越しにのぞくことができます)。

ここが冥土の入り口で、出口は嵯峨釈迦堂(清涼寺)近辺の井戸。 

近くには若妻が子供を育てるために飴を買いに来たという、悲しくもあり、少し怖く、心温まるお話「幽霊子育飴」、お立ち寄りください。

あの世にとても近いお寺と実感できる聖地。

 

● 深泥が池

幽霊スポットとして有名なところ。タクシードライバーの遭遇話や時折、目撃したとの風の便りで話題になります。

地元の新聞にもタクシードライバーの実話話が記事として掲載されてこともありました。

周辺には葦が茂り、貴重な自然生物の宝庫の地。

 

● 賽の河原

幽霊たちの社交場。生界と死界の境目。平安京の京にもそんな葬送の場所が多くありました。

西大路四条をより西の一帯がそんな場所の一つ。現在の西院(サイイン、又はサイ)。

東の角にある高山寺には無縁仏が丁重に葬られています。

 

● 首塚大明神

京都市から亀岡市へ向かう国道9号線の老ノ坂峠にある首塚大明神。

平安時代に源頼光等によって征伐された酒呑童子の首が埋められた場所として伝えられています。

この酒呑童子は、丹波国の大江山、または京都と丹波国の国境の大枝(老の坂)に住んでいたとされる鬼の頭領。

酒好きだったことから、部下たちからこの名で呼ばれたと云われています。

今でも酒呑童子の首が葬られたという土盛りの場所があります。

 

● 鞍馬街道静原

鞍馬街道の静市、小野小町の終焉の地と云われる補陀落寺(ふだらくじ)があります。

古く、この一帯は市原、野中、二ノ瀬、鞍馬、貴船の村々の葬送地であり、死者を葬る惣墓(そうばか)の地。

お寺はこれらの無縁仏を管理していたと伝えられています。

この近くで喪服の女性の幽霊が度々出たことから、地元の新聞にも掲載されました。その後、出没の噂も消えました。南無阿弥陀仏。

 

● 貴船神社、奥の宮

元祖、丑の刻参りの地。人の恨みが一番怖いものです。

周辺は深夜、俗世界から取り残されたと錯覚する程、闇と静寂に包まれます。

奥宮のさらに奥の貴船山の中腹には、山を守るお地蔵さまがお守りされています。

また、「ナナフシ」というまか不思議な昆虫や夏には蛍も乱舞する神聖な場所。

 

● 鞍馬山 魔王尊像

鞍馬天狗の里、鞍馬寺、鞍馬弘教。

本尊は「千手観音」「毘沙門天」「魔王尊」の三位一体で構成・総称「尊天」さま。

「魔王尊」さまは、650万年前に金星から地球に飛来された宇宙人だそうです。

「尊天」とは総ての生命の生かし存在させる宇宙エネルギー」の意。

尊天パワーが集中する霊山として、鞍馬山全体が聖域で、その神秘性と魔界性が多く宿る場所です。

牛若丸もこの山深い神山で鞍馬天狗に伝授されたと云われています。

夏は市内より涼しい避暑地となります。

 

この章での写真でのご紹介は祟り等を怖れ行っておりません。機会がありましたらBlogで随時ご掲載いたします。


<消災呪(しょうさいしゅ)>

 

曩謨三滿哆      母駄喃    阿盋囉底  賀哆舍    娑曩喃   怛姪他  唵

なむさんまんだ もとなん おはらち ことしゃ そのなん とじと えん

(一切の諸仏に帰命します。無上の教師よ。唵おん(オーム・聖音))

 

佉佉       佉呬     佉呬    吽吽

ぎゃぎゃ ぎゃき  ぎゃき うんぬん

(仏身よ,仏身よ。消滅させよ,消滅させよ。吽吽ふんふん(オーム・聖音))

 

入嚩囉   入嚩囉   盋羅入嚩羅  盋羅入嚩羅

しふら   しふら はらしふら  はらしふら

(輝け,輝け。大いに輝け,大いに輝け)

 

底瑟姹    底瑟姹    瑟致哩    瑟致哩    娑發吒     娑發吒

ちしゅさ ちしゅさ ししゅり ししゅり そはじゃ  そはじゃ

(とどまれ,とどまれ。一切の衆生を不可思議に救う)

 

扇底迦     室哩曳      娑嚩訶

せちぎゃ  しりえい そーもーこー

(災難の消滅,吉祥(よいきざし)が成就す)

観光タクシー運転担当 & 英語通訳案内士

(観光庁認定 英語案内ガイド)

 

永 田 信 明 Nobuaki Nagata